個展「Boys Just Want to Have Fun」
2025年7月3日(木) - 8月2日(土)
AKIO NAGASAWA Gallery GINZA
「ただ楽しみたいだけ」
その言葉の裏にはいくつもの沈黙と葛藤があります。
個展「Boys Just Want to Have Fun」は、「静かなレジスタンス」の集積です。
そこには声高な主張はありません。描かれた男性たちの身体やまなざし、画面を満たす色彩が語りかけ、そして言葉にならなかった感情の「痕跡」を残します。
近年、世界各地でLGBTQ+の権利が前進や後退を繰り返す中で、私たちは「ただ生きる」「ただ楽しむ」ことすら、政治(やそれぞれの国の法律)に左右されることをまだまだ実感しています。
日本においては、同性婚の法制化はいまだ実現せず、学校や家庭、職場といった日常のあらゆる場所で、マイクロアグレッション(さりげない差別)や制度的な抑圧が根強く存在しています。
このような状況において、TORAJIROの描く男性たちは「声高な主張」ではなく、「沈黙の中にある感情」で世界と対峙しています。彼らはこちらを見つめ、時に視線をそらし、動物たちと寄り添い、ただ立ち尽くします。絵画の中に流れる色彩の全ては、複雑な感情の痕跡です。
個展タイトル「Boys Just Want to Have Fun」は、1980年代のシンディ・ローパーのフェミニスト・アンセム「Girls Just Want to Have Fun」へのオマージュでもあり、同時に、ジェンダーの枠を超えた自由とユーモアを内包するアイロニカルな表現です。
この展示を通じて、「日々を楽しむこと」「だれかを愛すること」「自分に正直になること」といった、ごく当たり前で、だからこそ奪われやすい行為の尊さを再確認したいと考えています。
絵画は、政治的スローガンを叫ぶ代わりに、沈黙と色彩を通して、もっと深い真実を語ります。
その静かな語りかけが、あなたの心にそっと響く空間になりますように。
-TORAJIRO
Back to Top